妻と俺の話を書いてみる。
俺は某年4月1日ある新興企業に入社した。
入社後、1ヶ月程度は同期50人ほどと一緒に研修だった。
その研修で出会ったのが、妻の誓子だ。
研修の初日
誓子が立ちあがって自己紹介をした時、隣に座る貞森から「おぉ~」という歓声が上がった。
貞森は慌てて自分の口を押さえて真っ赤になっていたが、気持ちは俺も同じだった。
他の同期も声までは漏らさないまでも、皆、ぼうっと誓子の美貌に見惚れているようだった。
それ程の美女だった。
気品のあるノーブルな顔立ちと柔らかそうな髪がとても印象深く、スリムな体型にリクルートスーツがとても良く似合っていた。
間違いなく同期1の美女だった。
すぐに争奪戦が始まり、積極的な男達が、何かと話し掛けたりしているのが目に付いたが、引っ込み思案の俺は、ただ指を咥えて見ているだけだった。
同期先輩を含め物凄い競争率だったが、同じ部署に配属されたことや、帰りの路線が同じだったこともあって俺と誓子は、ごく自然に親しくなった。
そして、知り合って2年後、なんとか交際まで漕ぎ着け、それから1年程経ったとき、プロポーズして結婚した。
人気の高かった誓子が何故俺の様な男とと思うかもしれないが気が弱く引っ込み思案な誓子は、強引な男が苦手だったので、気の弱い俺がちょうど合っていたようだ。
結婚から数年は、仕事も私生活も順風満帆で、調子に乗った俺と妻は独立して事業を始めた。
前職の会社からお願いされて問題顧客(というか面倒な顧客)を引き受けるなどして円満に独立したため、前職からも仕事を貰えて、事業は非常にうまくいき、従業員を15人も雇う程に成長した。
しかし、ご存知の様にリーマンショックから続く不況は、俺達の事業にも多大な影響を及ぼしあっという間に事業は火の車になった。
そして、昨年、とうとう前職からの受注も打ち切られるという話が持ち上がった。
当社は前職からの受注が売り上げのほとんどを占めるようになっていたため、切られてしまったら、もうお終いだった。
俺は、仕方なく、かつての同期にお願いしてみることにした。
前職に残っている同期の中には、新興会社ということもあって、若くして既に偉くなっている者もいた。
それが吉田だった。
チャラチャラしていた吉田と俺は、まったく親しくなかったが、背に腹は変えられず、頭を下げてお願いした。
この会社は、ブラック企業・・・想像できることではあったが、実際に我が身に起きてみると、普通に驚いた。
吉田は、ある条件を出してきたのだ。
そう、妻の誓子を差し出せと。
「冗談じゃない!ふざけるな」と返答すると。
吉田は落ち着いた様子で
「お前が、特別、何かをするわけじゃないぞ。もちろん、奥さんに、俺に抱かれるよう言い含める必要もない。
お前は何もしなくていい、ただ、家計の足しに奥さんをうちでバイトさせるだけでいいよ。」と言い出した。
どんなバイトだよ?、と尋ねると。
「別に変なバイトじゃない。実際そんなの無理だろ。他のスタッフがやってるのと同じ、事務や雑用だ。
ただし、俺は上司として、誓子さんを口説く。」
俺が黙っていると
「だから、差し出すって言っても、結局は、奥さん次第だ」
「奥さんをうちで時給950円の普通のバイトをさせるだけで、今までどおり発注してやるって言ってるんだよ。奥さんが社内にいるだけで、がんばる奴もいるからな、
会社としてもそれだけの価値がある。」
妻はちょうどパートを始めようかと言っていたし、男に口説かれる率もどこで働いても大差はないはず。
俺はそう考えて、この申し出を受けてしまった。
妻に話すと、妻はまったく躊躇わずに、喜んでバイトをすることを了承した。
バイトを開始したその当日から、妻が帰ってくる時間は遅かった。
前職の時も遅かったから、仕方がないことではあるが、吉田のことが気になって仕方がなかった。
そして1ヶ月程が過ぎた頃
意外な男から突然メールが来た。
何処で俺のアドレスを知ったのか、メールは貞森からだった
貞森と俺は同じ部署に配属されたが、とても仲が悪かった。
俺は多少の緊張感をいだきながらメールを開いた。
それは予想以上に酷い内容だった
『ご馳走様!昨日、誓子ちゃん美味しく頂かせてもらったよ。
初めて会ってから何年経つかな~。やっと念願が叶った。たっぷり楽しませてもらったよ。
可哀想にな。お前なんかと結婚したから、あんな美人が俺らの言いなりだ。お前、本当に馬鹿だな。』
俺はすぐに『うそつくな!』と返信した。
そしたら、すぐに返事が来た。
『本当だよ。吉田なんか先月から抱きまくってるぞ。俺らは昨日が初顔見世だったんだ。
あの誓子ちゃんが俺達の前で大股開きだもんな、興奮したよ。
みんなでマンコとアナル弄ってたら、泣いちゃったよ、、ちょいと可哀想だったかな。
まあ、悪く思うなよ。誓子ちゃんもお前のために必死なんだからさ。』
『嘘だ!うそをつくな!』俺は慌てて返信した。
またすぐに返事が来た。
文章は全くなかった
が、一枚の写メが添付されていた。
涙で霞んでよく画像は見れなかったが、それでも、その画像の女性が裸であること、そして、誰であるかは分かった。
あの生真面目な妻が複数の男の前で裸にされたのかと思うと悔しくて堪らなかった。
すぐに吉田に電話を掛けた。
吉田は全く悪びれもせずに全てを認めた。
俺の会社への発注を止めると脅され、それでも頑なに拒む妻に仕事でミスをさせて弱みを握りそうやって断れない様にがんじがらめにしてから、
飲みに誘い、さんざん酔わせて、ホテルの部屋に連れ込み抱く。
酷い手口だった。
「1度抱いたら、あとは超簡単だったな。
最初やった後けっこう騒がれたんだけど、お前にバラすって言ったら急に大人しくなってさ。
うれし涙流しながら自分で股開いたよ。初日から3回はヤッたかなw」
「お前も認めてたことなんだし、まさか怒ってないよな? 先輩も同期もみんな超喜んでたぞw
貞森なんて、まさかあの誓子ちゃんを玩具にできるなんて、俺死んでもいい!なんて口から泡飛ばしながら腰振ってたなw」
間抜けなことに、俺は全く気付かなかった。
妻は、出社した初日に吉田の毒牙に掛っていたのに。
1か月以上もの間、同期や先輩達の慰み者にされていたなんて。
俺は間抜けだった
あの真面目な妻だ、どんなに辛かったことだろうか。
「お前にバラすって言うとさ、本当に何でもするんだよw あんな清楚そうな顔してさ」
吉田の馬鹿にしたような笑い声が頭にこびりついて離れなかった。
バイトはすぐに辞めさせよう。
でも、俺に知られることを極度に恐れている誓子のため俺は何も知らないことにすることにした。